『生活考察』という雑誌があります。
名前のまま、生活について考察する雑誌です。発行人の方の言葉を借りてきましょう。
本誌は、タイトル通り、〈生活〉について考えることをテーマにしています。
よって、“ある種の”ライフスタイル・マガジンではあります。
しかしながら、いわゆる定石の「理想の生活」「ワンランク上の生活」及び「理想の生活を実現するためのアイテム」等にとりわけ重きを置きません。
かつ雑誌をあげて提案する「スタイル」もとくに持ち合わせておりません。
むしろハナから「スタイルの提案」を放棄し、積極的に多様なスタイルにまみれてみること――そこから、現代を“楽しく”サヴァイヴするための術・発想・考え方を模索していきたいと考えております。
実用的な情報ばかりにとらわれ、「考えようによっては得るところがある」かもしれぬ〈何か〉を取りこぼさないように。
「生活考察」は、〈生活と想像力〉をめぐる雑誌です。
表紙はこんな感じです。
インディーズ雑誌の割には執筆陣がいやに豪華です。内容はといえば、「生活のなかの○○」などといった形でテーマが限定されていないせいか、皆さんそれぞれ自分の生活をそのまま書いたり、生活についての考えを書いたりと、十人十色です。
どれも読み応えがあって面白いのですが、個人的には、「わたしの Music for Dishwashing」という、皿洗いをするときにかける音楽についての懇談が好きです。エイフェックス・ツインを聴きながら皿は洗えないとか、『ボーン・スリッピー』を聞くと皿洗いをしたくなるとか、しょうもないようで実は深い話が繰り広げられています。
上の引用のなかで、サヴァイヴというキーワードがあるのは、とてもいいなあと思います。生活というのは、ミニマムなところでは単純に生きていくだけですが、お腹は減るし、何かと物入りだし、従ってお金はかかるし、面倒な用事はあるし、外出が億劫なこともある。
彩りは必要ですが、彩るものでもないし、ある目標に向かって生活の全て調整していくなんてのも息苦しくてやってられないわけで、のらりくらり、どうにかこうにか日々をサヴァイヴしていくというのは、わたしの生活実感に近いものがあります。
といいつつ、そんな肩肘張ったところもなく、緩やかに読めます。扱っている本屋は<ここ>で確認できます。