2013年3月16日土曜日

企業が「帝国化」する

『企業が「帝国化」する』を読了。

かったるい読書。本がかったるいわけではないが。

乱雑にまとめると、筆者が属していたアップルや、あるいはグーグルのような企業が私設帝国と化していき、仕組みを作る側とそれを回す側との格差が開くことや、その構造がどのように作られているのかを述べている本である。

仕組みを作る側と回す側に分割されて云々というのは、元々企業というものはそうした仕組みで動いているもので、成長した企業が帝国化してサプライチェーンに入るかどうかが特定の企業の分かれ道になるという話も、日本各地にある企業城下町を見てみれば馴染みのあるものだ。鎌田慧の『自動車絶望工場』などはトヨタのそうした一面を表している。

むき出しの資本の論理に個人が絡め取られていくという話は今にはじまったものでもない。結局のところ、根底にあるのはグローバリズムによって先進国の中産階級の食い扶持が減っているということで、これもまた大昔からよく言われていることだ。確かに登場してくる情報はアップデートされたものだし、興味深いのだけれど、どこかクーリエ・ジャポン的な印象がある。