2012年12月9日日曜日

本棚の崩落

久しぶりの地震があって、翌日になって本棚が崩落した。

使っている本棚は、引越しの際にネットで適当に注文した安物で、見た目はいいが微妙なバランスを保っていないと崩れてしまう。おかげで、だいたい年に一度は崩落事故が起きている。

またかと思って、まずは本を救出して床に広げる。大した冊数でもないのに、物理的な紙の量に少し驚く。全て読んでしまった後だし、始末してしまった方が良いような気もしてくる。

Kindleを使っていれば、全てがあの薄いデバイスのなかに収納される。収納はそれで解決する。一方で別の解決しない問題も出てくる。

電子図書において致命的なのは紙というメディアに対するフェティシズムが満たせないことではなく、本棚という概念が存在しないことであり、各人が本棚を通じて構築している理解が俯瞰できない点にある。

アトムとビットとの対比を考える。ビットの世界においてある情報との遭遇は必然的なものになりつつあり、偶然的な要素は減っている。

本棚が崩落して、結果として本の配列が変わり、どこかで私の理解も更新される。電書のシステムは本棚の見た目はコピーしていても、こうした振る舞いは実装できていない。これが実装できたとき初めて、電書が書物を上書きする。