2012年2月4日土曜日

コズモポリス

ドン・デリーロの『コズモポリス』がデヴィッド・クローネンバーグによって映画化が進んでいると聞いたのは2011年の初め。

ドン・デリーロの小説からは映像的な印象を強く受ける。運動と静止、視線の移動と突然の停止を巧みに織りまぜた情景描写、イメージを連続的に連ねていくスタイルで、物語性は決して高くない。それどころか、かなり読み込まないと筋を追うことすら難しいこともある。このスタイルとテーマとが完全な一致を見せてメガノヴェルでやりきったのが『アンダーワールド』であり、マンハッタン47番街の24時間を封じ込めたのが『コズモポリス』である。

クローネンバーグといえば『ビデオドローム』や『イグジステンス』に登場するような、ドロドロネバネバな肉体の変容のイメージが強いが、最近の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』や『イースタン・プロミス』といった作品では精神の変容に焦点が当てられている。とはいえ、内なる異形のものを取り出す手際と表現力は、現役の映画監督のなかで一番高いのではないかと思う。

ヒストリー・オブ・バイオレンス

イースタン・プロミス

『コズモポリス』そのものの作品からして、最近のクローネンバーグの感心に沿った映画になるのではないかと思う。岡崎京子の『ヘルター・スケルター』が映画化されるというニュースがあったが、あの作品に最も合った監督はクローネンバーグではないかと思う。

2012年1月31日火曜日

Lana Del Rey

Lana Del Reyのデビューアルバム、Born to Dieを買った。彼女のことを知ったのは、恐らく多くの人と同じようにyoutubeでVideo GamesのPVを観たのがきっかけだった。


本人の服装、登場する小道具、曲調や画質の粗さも相まってデヴィッド・リンチの映画に登場する、敗北した女優たちを筆頭としたヴィンテージ的なハリウッドのイメージが思い起こされる。同じことを思った人は他にもいたようで、インタビューでリンチからの影響について聞かれていた。

セルフ・プロデュースっぽい雰囲気や、作りこまれた末に醸し出されるフェイク感など、今のアメリカのポップカルチャーのど真ん中を撃ちぬいているので、かなり売れるんじゃないかと思う。どこか整形でもしていれば完璧。ただ、こうしたものが受けてしまうようでは、どこか文化的などん詰まりのようなものが頭をよぎる。