2012年4月22日日曜日

Studio2009はAK-47か

業界のデファクト・スタンダードのツールであるTrados。Studio 2009になってからインターフェースと設計思想ががらりと変わったせいで拒絶感を示すユーザがいました。未だに使っていない人も多くいます。

自分もあまり好きではなかったのですが、理由をよくよく考えてみると、作成者の想定した使い方しかできない(少なくともはじめはそのように感じられる)ことが根本にある気がします。

プロジェクト管理の視点のみで語ると、2007までのTradosは、洗練はされていないものの、WorkbenchとTagEditorの個別の機能を組み合わせると色々なことができました。「色々なこと」のなかには、試行錯誤できるパターンの数やバッドノウハウも含んでいます。結果として、受け取るファイルのデータ構造やテキスト配置が整理されていなくても、系全体としては何となく処理できてしまう特性がありました。

AK-47が過酷な環境でも動作するという話(リンク)は、これに近いものがあります。ゆとり、疎結合、遊び(可動範囲)といった領域をとっておくと変化へ対応できる可能性が増える。逆に系を構成する部品たちの精度と緊密性が高まると、意外と簡単な問題で躓いたりする。

この意味で、Studio2009を単独で見るとイノベーションのジレンマに陥っているように見えるのですが、TMSなどにより原文データが整理されたものになれば、一概にそう言えるものでもないのですね。いつまでもジャングルでゲリラ戦をやってるわけにもいかんので、別の戦場で戦いましょうというのが開発側の基本的な考えです。

しかし、より重要なのは、Studioが連携を図るTMSなどのシステムは、特定の課題を解決するためのツールとは異なり、多くの場合においてローカリゼーション・プロセスのリエンジニアリングを意味するものであるという点でしょう。

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